KDS New Wave Story-15

KDS New Wave 第15話

水晶デバイスの新たな価値の提供へ

モバイル機器で使用される部品のトレンド

私たちの身近になったスマートフォンやスマートウォッチなどの情報端末、ワイヤレスイヤホンやスマートグラスなどのウェアラブル機器。これらは高速/大容量通信、高速処理が可能となり、私たちの暮らしはより便利になりました。さらに搭載されているバッテリーは長時間使用できるようにサイズは大きくなっています。バッテリーの大型化に対し、その他の部品は高精度化とともに小型/薄型化しており、水晶デバイスでは過去20年間で大きさ(体積)は約1/8、今では米粒よりも小さくなっています。しかし、水晶デバイスは他の部品と比べるとそのサイズはまだ大きく、さらなる小型化が望まれています。

 

水晶デバイス小型化における課題

水晶デバイスの基本構造は水晶片を接着剤でセラミックパッケージに固定し、金属の蓋で封止します。これまではパッケージや蓋を小さく薄く、中に入れる水晶片を小さくすることで小型化してきました。しかし、パッケージや蓋は薄くするほど壊れやすく、また、取り扱いも難しくなるため、加工や組み立てが難しくなります。水晶デバイスをさらに小さく薄くするには以下のような工夫が必要になります。
▶ 使う材料は薄くても丈夫で高精度な加工ができること
▶ 水晶片とパッケージ、水晶片と蓋との隙間をできるだけ小さくすること

小型化

 

世界最小最薄の水晶デバイス

当社のキープロダクトであるArkhシリーズは耐久性があり、高精度加工が可能な水晶をパッケージに使用することで内部の水晶片と一体形成が可能となり、その内部の隙間は極限まで小さくすることができます。さらにWLP(ウエハレベルパッケージ)工法を用いることで、小さな水晶デバイスを大きなウエハで一度で多数組み立てることができるためハンドリングが容易になり、製造コストも抑えることができます。さらに、高機能デバイスを実現するSIP(System In Package)のような高密度実装にも対応が可能となります。これまで最も薄い水晶デバイスは300μmでしたがArkhシリーズの1つであるArkh.3Gは130μmと従来製品の半分以下の厚みを実現しており、これまで難しいと考えられていた場所に水晶デバイスを搭載することが可能になりました。Arkhシリーズの可能性はますます広がっていきます。

構造