KDS New Wave Story-10

KDS New Wave 第10話

Arkh(アーク)シリーズの誕生

「安定供給」と「環境対応」の両立

当社ではメーカーの責任として、「安定供給」と「環境対応」の両立が必要不可欠と考えていますが、「生産数量の増加に伴いCO2排出量が増加する」という難しい課題を解決しなければなりません。そのためには従来とは異なる思考でのアプローチが必要になります。

この課題を克服するための理想的な製品条件は次の通りであると考えています。当社ではこれらの実現を目指して製品開発を行い、「安定供給」と「環境対応」の両立を可能にする「Arkh(アーク)」シリーズの開発に成功しました。

Arkhシリーズ

 

新たな製品思想

電子部品はエレクトロニクス技術の発展とともに小型化が求められています。一般的に、製品サイズが小さくなれば使用する部材が少なくなりコストダウンにつながりますが、一定のサイズ以下になると技術的難易度が上がることから一転してコストアップへつながります。しかし、半導体を例に挙げますと、半導体は小型化しながらも低コスト化を実現しています。これは自動化技術の進化とともに製造工程がウエハレベルで行われているからであり、水晶デバイスにおいても同様のことができれば上述の課題克服につながります。そこで、従来とは異なり、水晶ウエハを貼り合わせるWLP(ウエハレベルパッケージ)技術を確立し、「Arkhシリーズ」を実現させました。さらに、WLP技術では当社のコアテクノロジーである水晶ウエハの大判化メリットを最大限享受できるため、半導体と同様に「小さく軽いものは安い」を実現できました。

 

Arkhシリーズとは

当社は、水晶デバイスの第1世代をリードタイプ、第2世代を現在主流であるセラミックパッケージを使用した表面実装型の製品と定義しています。そして、第3世代として新たに開発されたのが、これまでにない新たな構造を持つ「Arkh.3G」をベースとした「Arkhシリーズ」です。

第3世代

Arkhはギリシャ語のArkhitekton(アルキテクトン:構造や設計思想・観念、戦略を意味する言葉)から引用しており、「理想的な製品の実現」に対する思いが込められています。また、セラミックパッケージに導電性接着剤を用いて水晶片を保持するという従来の構造とは異なり、「Arkh.3G」は3層の水晶をウエハ状のまま貼り合わせるWLP技術を採用しています。この「Arkhシリーズ」の技術を用いて、当社は新たな価値創造に取り組んでまいります。
なお、Arkh.3Gは2019年に「グッドデザイン賞」を受賞しています。

 

[Arkhシリーズの基本構造]

基本構造

[製造工程の違い]

WLP技術

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