KDS New Wave Story-8

KDS New Wave 第8話

CO₂回収モジュール

世界中で地球温暖化問題が注目されており、今後もCO₂排出に対する制限が強まっていくと予想されます。
当社では、温室効果ガス削減に向けた取り組みに注力しており、2023年3月には「2030年 チャレンジ カーボンニュートラル “Scope1+2”」を宣⾔、CO₂排出を抑制するだけでなく、CO₂回収技術の開発にもチャレンジしています。そこで、今回は当社が開発しているCO₂回収モジュールをご紹介します。

 

CO₂回収モジュールとは

現在開発に取り組んでいるCO₂回収モジュールは、大気中から直接CO₂を分離/回収するもので、DAC(Direct Air Capture:直接空気回収技術)と呼ばれている技術の1つです。大気中のCO₂濃度は0.04%であるため、限られた方法でしか回収することはできません。当社ではアミン系吸収材を使用した方法を採用しており、吸収した後は加熱することでCO₂を高濃度化して放出することができます。また、CO₂放出後、アミンは吸収力が回復するので、繰り返し吸収材として使用することができます。

 

当社CO₂回収モジュールの特長

アミンは一般的には危険物に該当し、屋外でそのまま使用するには適しません。そこで、CO₂回収モジュールとして安全に使用できるようアミンを外部に露出させることなく特性を引き出せる構造にしました。
また、従来のアミンを使ったCO₂回収方法はCO₂を取り出す際の加熱で大きなエネルギーコストがかかってしまう、つまり、CO₂の回収に多くのエネルギーが必要になるため、新たなCO₂排出につながってしまうことが課題でした。そこで当社では、「太陽光集熱システム」を利用したアプローチにより、従来の課題解決にチャレンジしています。必要なのは熱のみであるため、太陽電池を用いず太陽光を集めて作った熱エネルギーで直接CO₂回収モジュールを温めます。太陽電池と比べてエネルギー効率が良く複雑な機構を要さないため、コンパクトな装置を実現でき、日光が当たる場所ならばどこでも使用可能です。

構造 集熱

 

さらに、夜間にCO₂を回収、日中は太陽下でCO₂を放出するサイクルを構想していますが、天候次第では加熱温度が変わってしまうため、温度制御システムも併せて開発しています。

吸収と放出

今後の展開

CO₂回収システムの多くは効率を重視した大規模なものが主流となっており、誰でも簡単にできることではなく、カーボンニュートラルに取り組みたくても難しい、という声も挙がっています。当社では、持ち運び可能な小型CO₂回収モジュールによるCO₂回収システムで、「誰もが簡単にカーボンニュートラルへの取り組みに参加することができる」、そんな世界を実現したいと考えています。
現在、小型CO₂回収モジュールと太陽光集熱システムのプロトタイプが完成し、CO₂を回収できることが実証されました。回収効率など課題はありますが、今後も改善を進め、真にエコなCO₂回収を目指してまいります。