KDS New Wave Story-7

KDS New Wave 第7話

新たな結晶開発 -ゼオライト-

当社では、過当競争による「レッドオーシャン」から脱却し、競争優位性に優れた製品開発をベースに新たな市場でもある「ブルーオーシャン」の開拓と安定的な高利益体質を目指すため、2019年に10年⻑期経営計画「OCEAN+2戦略」を策定しています。
その基本戦略の1つである「新たな結晶」の取り組みとして、コアテクノロジーである⼈⼯⽔晶の育成技術を基にした結晶開発を進めてまいりました。そして、人工水晶の育成と同様の水熱合成法によりゼオライトの合成に成功しました。

+1新たな結晶

 

ゼオライトとは

ゼオライトはケイ素とアルミニウムを含んだ結晶で、結晶内部にある穴の⼤きさの違いによって多くの型が存在しており、その⼤きさによって⽤途が決まります。また、ゼオライトは天然に産出されるものと人工的に合成されるものがあり、天然ゼオライトは主に吸着用途で用いられますが、合成ゼオライトは吸着用途に加え、触媒用途としても用いられます。

用途

合成ゼオライトの市場規模は2027年には1兆円規模へ拡⼤すると見込まれており、当社ではさまざまな用途への応用を検討した結果、⽯油精製触媒⽤途に使⽤可能なMFI型ゼオライトの合成に取り組み、成功しています。

 

ゼオライト合成における当社の強み

ゼオライトの合成にはケイ素とアルミニウムが必要ですが、⼈⼯⽔晶育成時の廃液にケイ素が溶け込んでいることに着⽬し、その廃液からゼオライトを合成することに成功しました。しかし、廃液からだけでは一定量しか生産できないため、人工水晶の原料であるラスカや規格外の人工水晶など自社保有物を使用することで目標とする生産量の確保を見込んでいます。
さらに、水熱合成法では特殊な圧力容器を用いて高圧環境を実現していますが、この圧力容器は非常に高価です。通常であれば多量のゼオライトを生成するために多額の設備投資が必要なりますが、当社ではなるべく初期投資を抑えるべく、休眠中の⼈⼯⽔晶育成炉の有効活⽤に取り組んでいます。現在、合成装置のスケールアップを行っており、最終的には年間130トンの生産が可能な体制を目指しています。

ゼオライト