KDS New Wave Story-6

KDS New Wave 第6話

世界一の高Q値原石を目指して

前回はQ値430万という超高純度な人工水晶の開発に向けた取り組みをご紹介しましたが、当社ではさらなる高純度化を目指した取り組みがスタートしようとしています。
今回は世界一の高Q値原石を目指した当社の飽くなき挑戦をご紹介いたします。

Q値450万以上の人工水晶開発へ

当社では緻密な温度コントロールが可能な育成炉と高純度な原料を用いることにより、不純物が従来の約1/100となるQ値430万という超高純度人工水晶の育成に成功しています。さらに純度を高めるためにはどうすれば良いのか?ここで着目したのは育成炉の温度と圧力です。

1️⃣ 超高温による成長速度の抑制
人工水晶の育成において、成長速度が速くなるにつれ原子の塊を含みやすくなります。この場合、水晶の配列が崩れその隙間には不純物が入り込みやすくなるため、Q値が低下してしまいます。ここで、育成炉内の温度を高温にすると水晶の各軸における成長速度比率が変化することにより、通常よりも成長速度を抑えることができます。成長速度を抑えることにより原子は規則正しく並び、不純物が入りにくくなる結果、Q値の向上が望めます。

通常の場合
Q値:430万

通常
成長が速いと原子の塊が付き、並びが崩れる。
隙間には不純物が入りやすくQ値が低下する。
超高温の場合
Q値:450万以上

超高温
超高温で成長を抑えると、原子が規則正しく並び
不純物が入りにくいため、さらに高Q値化が望める。

⇒ 厚み方向の成長をさらに抑えて、不純物が無い結晶を作ることが可能

 

2️⃣ 超高圧による原子配列の制御
超高温で成長速度を抑えることに加え、圧力を通常よりも高くすることで、原子配列が理想状態により近づくのではないかと想定しています。

通常の場合
Q値:430万
通常
超高圧の場合
Q値:450万以上
超高圧

⇒ 超高温で成長速度を抑えた上で、超高圧ではさらに理想状態に近づき、Q値向上

 

今後、当社では 1️⃣、2️⃣ を実現させるため超高温高圧対応が可能な育成炉の導入を計画しています。
Q値450万以上の超高純度人工水晶では宇宙開発用途での信頼性向上や高効率なレーザー光変換素子への応用などが期待されます。

【宇宙開発用途でのメリット】

通常
不純物/欠陥から損傷することで
水晶デバイスの特性が変化
超高温
不純物/欠陥から損傷することがないため
水晶デバイスの特性は変化しない

⇒ 宇宙開発用途における信頼性向上

 

【レーザー光変換素子へのチャレンジ】

レーザー光変換素子