KDS New Wave Story-2

KDS New Wave 第2話

人工水晶の育成日数短縮

タイミングデバイスマーケットの拡大と人工水晶

自動運転に向けた「クルマ」マーケットや無線通信が必要不可欠な「IoT」マーケットを中心に、タイミングデバイスマーケットの拡大に疑いの余地はありません。

2030年のマーケット規模は、2021年に比べて2.2倍以上になると見込んでいますが、タイミングデバイス業界として、これだけのマーケット数量に対応するには莫大な設備投資が必要であり、人工水晶をはじめとした部材不足により安定的に供給することが難しくなるといったリスクも考えられます。

水晶デバイスマーケット規模

当社では、これからの「つながる社会」に必要不可欠なタイミングデバイスを必要なタイミングで必要な数量を安定的に提供することが重要課題の1つと考えています。

 

人工水晶の確保に関する課題

第1話でもお話ししましたが、フォトリソ工法では使用するウエハサイズが大きくなればなるほど、ウエハ1枚当たりの水晶片の取れ数は増加し生産性が向上することから、水晶ウエハの大判化、すなわち水晶原石の大型化が企業競争力を向上させる上でとても重要な要素になります。

つまり、大型人工水晶の安定的な確保が上述の重要課題の解決に向けたキーポイントとなります。

しかし、水晶は方向(軸)によって成長スピードが異なるという性質があり、成長スピードが最も速い方向でも、その成長スピードは1日に1mm以下であることから、大型人工水晶の育成にはかなりの日数を要することになります。

また、育成日数が長くなればなるほど使用する電気代は増加することとなり、結果的に環境負荷、製造コストも増加します。

 

課題解決に向けたチャレンジ

そこで大真空では、人工水晶の安定供給やCO2削減に繋がる環境対策、コスト削減に向け、育成炉自体の省エネ化を推進し、断熱材の補強や補修を行うことで、対策前と比べ電力使用量を約20%削減しました。

そして、人工水晶の育成日数短縮に取り組み、人工水晶の育成日数を150日から100日に短縮することに成功、育成日数の短縮で30%以上の電力使用量を削減しました。

これらの取り組みにより、人工水晶の育成にかかるコストの70%を占める電気使用量を従来の50%まで削減、生産能力を1.5倍へ引き上げることに成功しました。

エネルギー消費