KDS New Wave Story-22

KDS New Wave 第22話

Arkh.2Gの製造上のメリット

前回は、接着剤の塗布や経年劣化において、Arkh.2Gの構造的なメリットを説明いたしました。今回は製造上のメリットについて説明いたします。

生産効率の向上の仕組み

当社が目指す「安定供給」を実現するためには、現状よりも生産効率を向上させる必要があり、Arkh.2Gには、この生産効率の向上を可能にする仕組みがあります。

■ 良品検査済みのArkhシリーズ水晶振動子を搭載
Arkh.2Gは、完成した良品であるArkhシリーズの水晶振動子を搭載して組み立てるため、振動子由来の不良が組立工程では発生しません。その結果、製造歩留が高く、低コストでの生産が可能です。歩留が向上すれば、必要な設備や人員の削減も期待できます。

歩留り100%

Arkh.2Gに搭載する水晶振動子は、ウエハレベルパッケージ(WLP)技術で製造されるため、同一ウエハ上のある一つの振動子とその周辺の振動子は、ほぼ同様の特性になります。使用した振動子のウエハ上の位置を管理することで、発振器を組み立てた際の温度特性が抜き取り検査で確認できます。
この仕組みにより、生産性が向上するとともに、投資金額を抑える効果も得られます。

抜き取り検査

 

■ 発振器の生産アウトプット増加
Arkh.2Gの生産ラインは、単位面積当たりのアウトプットを最大化できます。
Arkhシリーズの水晶振動子の組立ラインは、従来品に対しコンパクト化が可能であるため、空いたスペースに水晶発振器の組立ラインを配置することで、工場を増床することなくアウトプットを3~5倍に増やすことが可能です。

生産ライン比較

さらに、WLP技術で製造されるArkhシリーズの水晶振動子は、製品サイズを小さくすることでウエハ1枚当たりの取れ数を増やすことができます。つまり、Arkhシリーズの水晶振動子を小さくすればそのサイズに比例してコストも下がります。

コストダウン

また、当社のコアテクノロジーである水晶原石の大型化/ウエハの大判化によってウエハ1枚当たりの取れ数を更に増やすことができます。これらの技術により、製品コストを大幅に下げることが可能です。

 

■ BCP対応の強化
設備の簡易化と組立工程の単純化により、どの既存工場でも組立可能となります。
また、最終製品となるArkh.2Gの組立工程の途中段階でArkhシリーズの水晶振動子が完成しますが、気密封止した段階で在庫保有することにより、品質を落とすことなく保管でき、必要なタイミングで最終形の発振器に組み立てることができます。
必要な時に必要な分だけ生産/出荷が可能となり、将来の市場変化にも柔軟に対応可能となります。

拠点図

これらの仕組みと技術により、Arkh.2Gは高い生産効率と低コストを両立しながら、安定供給とBCP対応を同時に実現できる製品です。
次回、サーミスタ付きArkhシリーズ水晶振動子についてお話しいたします。

 

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