KDS New Wave Story-20

KDS New Wave 第20話

IC内蔵のメリット

求められる電子部品の進化

近年、スマートフォンをはじめあらゆる電子機器は小型・高機能化が進んでいます。その結果、内部に使用される電子部品の点数は増え、スマートフォンでは1台あたり1,500個以上、車ではさらに多くの電子部品が使用されています。
特に、その使いやすさからモバイル機器には小型化が求められますが、部品点数が増えると、モバイル機器の小型化が難しくなるため、内部の電子部品はさらなる小型化が求められます。また、部品点数を増やさないよう、1つの部品を高機能化させ、複数の役割を持たせる必要もあります。
そのためには、電子部品のパッケージング技術の進歩が不可欠であり、一つのパッケージの中でさまざまな電子部品を高密度に実装する技術が開発されています。この技術は複数の電子部品を1つのICに内蔵することを可能にし、1チップ化することができます。
このIC内蔵の1チップ化には具体的にどのようなメリットがあるでしょうか。

部品の高機能化

 

IC内蔵のメリット

スマートフォンの場合、IC内蔵によって電子部品が1チップ化されると、プリント基板が小さくなるため、空いたスペースに大きなバッテリーを置くことで使用時間を長くすることができます。
水晶振動子は、発振回路ICに接続して使用しますが、接続する配線が長くなると無駄な電力を消費しパフォーマンスが低下したり、周波数が高くなるとノイズが発生し周りに影響を与えてしまうため、できるだけ短い配線でICと接続する必要があります。それには、水晶振動子を小型化して発振回路ICにできるだけ近づけるか、究極はICに内蔵してしまうことが理想です。しかし水晶振動子は他の部品に比べると内部に空間が必要なため、小型化/薄型化には限界がありました。

IC内蔵水晶振動子

 

IC内蔵を可能にしたArkhシリーズ

当社のキープロダクトであるArkhシリーズの水晶振動子は、その問題を解決しています。
Arkhシリーズは水晶ウエハを貼り合わせるWLP(ウエハレベルパッケージ)技術を採用しているため、従来のセラミックパッケージでは難しかった水晶片が物理的に振動できる最小限の空間の確保を可能にし、従来品よりも小型で、半分以下の厚みを実現しました。
その結果、より狭い隙間に実装でき、高密度実装に適しています。また、Arkhシリーズはフォトリソ技術によって作られる製品で高周波対応にも優れており、近年の高周波が求められる高速大容量通信向けのアプリケーションにも適しています。

Arkh.3G