KDS New Wave Story-17

KDS New Wave 第17話

水晶振動子のモジュール化

水晶振動子の使われ方

水晶振動子は、発振回路と組み合わせてクロック信号を生成します。
クロック信号とは手拍子のようなもので、電子部品は手拍子に合わせて動作しており、手拍子が早くなると電子機器の性能(処理速度)が上がります。例えば、パソコンのスペックとしてCPU:**GHzのような記載を見たことがあると思いますが、これがクロック信号の速さです。
水晶は、早くて安定したクロック信号を容易に生成することができるため、多くの電子機器に使用されています。

 

水晶振動子のモジュール化

水晶振動子と発振回路をセラミックパッケージに封入したものが水晶発振器です。
このように、水晶振動子はさまざまな部品を組み合わせることで機能を追加し、モジュール化することができます。水晶発振器以外では、水晶振動子と温度センサーを組み合わせたサーミスタ付き振動子や、水晶振動子と時刻管理機能ICを組み合わせたリアルタイムクロックなどがあります。

 

モジュール化の問題

水晶発振器のようにセラミックパッケージに追加部品を実装してモジュール化する場合、振動している水晶板に接触しないよう、セラミックパッケージ内に専用の実装場所を設ける必要があります。その結果、セラミックパッケージは構造が複雑になり、コストが上がります。また、水晶は接着剤でセラミックパッケージに固定しますが、追加部品は金線で固定するなど水晶とは別の工法で組み立てる必要があるため、モジュール化するための工程も複雑になります。

モジュール化の問題

 

Arkhシリーズのモジュール化

Arkhシリーズの水晶振動子は水晶板を3層接合した構造になっており、セラミックパッケージを使用しないため、水晶振動子の設計や構造をほとんど変更することなく、その上部に追加部品を実装するだけで容易にモジュール化することが可能です。
例えば、水晶発振器を作るには水晶振動子の上にICを実装するだけで完成します。ICの実装を除けば、構造、工法、工程はArkhシリーズの水晶振動子と同じです。
また、追加部品をウエハ状にできれば、Arkhシリーズと同じ接合工法(ウエハレベルパッケージ技術)を用い4層目として接合することで、低コストで大量生産が可能です。さらに、Arkhシリーズの水晶振動子のリッドやベースのウエハ上に追加部品を形成することができれば、製品厚みをキープしたままモジュール化することも可能になります。
このように、従来のモジュール化において課題となるコストアップに対し、Arkhシリーズは柔軟な対応が可能です。

Arkhシリーズのモジュール化