死の谷を越えるためには
新製品と死の谷
Arkhシリーズの発表時、これほど小さく薄く、画期的な製造方法の水晶デバイスは他にありませんでした。将来の発展も期待され、初期市場において一部の革新的な顧客に受け入れられました。
初期市場における拡販活動が進むと、次はメインストリーム市場に向けての拡販活動ですが、そこに立ちはだかる障壁が「死の谷」です。
初期市場において顧客が求める価値は、Arkhシリーズの画期的なコンセプトや構造、製造方法などがもたらす新製品としての期待でした。しかし、次ステージであるメインストリーム市場において顧客が求める価値は、供給の安定性やコスト、BCPなど大量生産時の実績です。
この求められる価値の変化への対応力が、死の谷を越えられるか否かを決めることとなります。
死の谷を越えるために
Arkhシリーズは当初、これまでにない製品厚みをアピールポイントの1つに高付加価値製品としてリリースしました。しかし、その価値を認めていただけるお客様は限定的であり、さまざまなお客様に普及製品として採用いただくまでには至っておりません。フォトリソ技術を使用するArkhシリーズは当社のコアテクノロジーである水晶ウエハの大判化のメリットを最も享受でき、セラミックパッケージを使用しないため、安定供給と低コスト化が実現可能な製品です。また、BCPにおいてはそのコンセプトや製造方法から、Arkhシリーズを複数社から供給することは難しいのが現状です。この問題を解決し、Arkhシリーズを普及製品として採用いただくため、Arkhシリーズと既存品を融合させた「Arkh.2G構想」を進めています。これらによって顧客の価値の変化への対応力を備えたArkhシリーズは「死の谷」を超えることが可能になると考えています。
※Arkh.2G構想については次話以降でご説明します。