直材費の大幅低減とウェハレベル生産により、小型化と低コスト化の両立を実現した水晶タイミングデバイスの開発
この度、当社(社長 長谷川 宗平)は1.2×1.0 ㎜サイズでの低コスト化を目指した水晶タイミングデバイスを開発しましたのでお知らせいたします。
IoT の普及やストレージ市場の拡大に伴い、タイミングデバイスの重要性はさらに高まっており、中でもノイズ性能やコスト、調達性に優れた水晶デバイスは今後も飛躍的に拡大していくことが見込まれています。
一方、各社より同質製品がラインアップされることによる収益性の課題が顕著になっています。また、ワイヤレスイヤホンなどの高密度実装が必要な小型製品に向けた小型・薄型製品の需要が拡大していますが、直材費用の高騰や新規設備投資により、1.2×1.0mmサイズ以下の小型製品では製品価格が上昇する傾向にあります。
そこで当社では、従来製品とは異なる材料やWLP(Wafer Level Package)の採用により、小型化と低コスト化が相反しない製品の開発を行ってまいりました。この度開発した製品は、2017 年6月に発表した「Arkh.3G シリーズ」の基本技術を踏襲しながら、3層の水晶ウェハ貼り合わせ構造から振動層を除く上下層を有機性フィルムに置き換えることで、直接材料コスト低減とプロセスの簡素化により低コスト化を図りました。
これにより、従来構造の同サイズと比べても薄型という価値を追加しながら大幅なコストダウンを実現しました。本製品は、昨年度に策定した7つの基本戦略をベースとする10 年長期経営計画「OCEAN+2」の1つである「低コスト域への挑戦」を目的としたArkh 新シリーズになります。今後は、本製品の対応周波数の拡張やウェハの大口径化によるコスト低減に取り組み、将来的には世界最安の水晶デバイスを目指し、プロセス開発にも取り組んでまいります。
■製品仕様
外形寸法 | 1.2×1.0mm | |||
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厚み(max.) | 0.20mm | |||
周波数 | 40 / 48 / 50 / 52 /64MHz 他 ※32MHz 開発中 | |||
サンプル | 2020年6月以降 | |||
量産予定 | 2021年4月 | |||
用途 | SiP/IC内蔵、近距離無線モジュール、ストレージ機器 |
■従来製品との比較
新構造 | 従来構造 | ||
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製品名 | 未定 | Arkh.3G | DSX1210A |
外形寸法 | 1.2×1.0mm | 1.0×0.8mm | 1.2×1.0mm |
厚み(max.) | 0.20mm | 0.13mm | 0.30mm |
コスト | ◎ | ||
量産 | 2021年4月 | 量産中 | 量産中 |
[用語の説明]
「Arkh.3G シリーズ」
従来製品で使用されたセラミックパッケージや導電性接着剤を使用せず、当社が独自に開発した接合技術であるFine Seal 技術により、水晶を母体とする3 層のウェハを貼り合せるWLPにすることで従来製品同等の気密性を確保した小型・薄型・高信頼性の従来製品と異なる新しい構造の水晶デバイス。
【ご参考】
従来品比1/2 以下の製品厚みを実現した世界最小最薄※水晶タイミングデバイスの製品化
(https://www.kds.info/wp-content/uploads/2017/06/arch.3g-series-170613.pdf)
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