世界最小*温度センサ内蔵水晶振動子「DSR1210ATH」の開発
この度、当社(社長 長谷川 宗平)は1210 サイズの温度センサ内蔵水晶振動子を開発し、サンプル出荷を開始いたしますのでお知らせします。
温度センサ内蔵水晶振動子は、スマートフォンやGPS/GNSS 向けなどのRF、GPS クロック源として採用されている電子部品です。近年、電子機器の小型化、薄型化、高性能、高機能化が進んでおり、それらの構 成部品である水晶デバイスにおいても同様のニーズが高まっています。当社は2016 サイズおよび1612 サイ ズの温度センサ内蔵水晶振動子の量産を進めてまいりましたが、5G(第5 世代移動通信システム)/IoT(モ ノのインターネット)向けに世界最小となる1210 サイズ温度センサ内蔵水晶振動子を開発しました。
通常、温度センサ内蔵水晶振動子は、水晶振動子に内蔵された温度センサの情報をもとにチップセット側で温度補償が行われるため、水晶に要求される特性項目は一般的な水晶振動子に比べ多くなります。例えばAT カット水晶振動子の温度係数や変曲点温度などがありますが、これらは水晶片の寸法、形状などによって変化します。小型になるほどこれら特性項目にばらつきが生じやすくなるため、水晶片の加工精度が要求されます。本製品は水晶片の加工にフォトリソグラフィ工法を採用し、加工ばらつきを低減させると同時に、そのばらつきによる影響を受けにくい水晶片の開発を行い、従来品と同等以上の性能を実現しました。また、小型化に伴い高ドライブレベルへの対応は難しくなりますが、水晶片の工夫により300μW max.での動作を可能としたことで発振回路の低ノイズ化に貢献します。
さらに、フォトリソグラフィ加工で使用する水晶ウエハの大型化も並行して行うことで、今後予想されるIoT市場の飛躍的な数量増加に備えるとともに、コスト競争力を向上させました。また、低背型の温度センサ(NTC サーミスタ)を採用し、パッケージの最適化を図り小型化を実現、既存の2016 サイズおよび1612 サイズの温度センサ内蔵水晶振動子と同等以上の信頼性を確保しました。
※2018年11月25日現在 当社調べ
[開発機種]DSR1210ATH
- [特長]
- 超小型 SMD 温度センサ内蔵水晶振動子 外形寸法:1.2×1.0×0.55mm max.
- 温度センサとしてNTCサーミスタを内蔵
- セラミックパッケージ、金属リッドを採用し高精度/高信頼性を実現
- Pb フリー/RoHS 指令対応
- ドライブレベル:300μW max.に対応
- [主な用途]
- スマートフォンやウェアラブル機器などのIoT 関連機器
- [生産状況]
- サンプル対応時期:2019 年1 月~
量産対応時期:2019 年5 月~
- [電気的特性]
項目\機種 DSR1210ATH 公称周波数 76.8MHz オーバートーン次数 Fundamental 負荷容量 6pF、7pF、8pF 励振レベル 300μW max. 周波数許容偏差 ±10×10-6(at 25℃) 直列抵抗 20Ωmax./30Ωmax. 周波数温度特性 ±15×10-6(-30~+85℃) 保存温度範囲 -30~+125℃ サーミスタ抵抗値 22kΩ/100kΩ(at +25℃) サーミスタB定数 3380K/4250K(+25~+50℃) この他の仕様、または特殊仕様については営業窓口にお問い合わせ下さい。
- [外形寸法]
- [用語の説明]
- ●温度係数
温度変化に対する周波数の変化量が3次曲線を示す切断方位。AT カットの水晶片は広い温度範囲で安定した周波数が - 得られ、MHz帯の水晶デバイスでは最も使用されている。
- ●温度係数
ATカット水晶振動子の周波数温度特性は、以下の3次の多項式で近似されます。
f(t)=C3(t-t0)3+C2(t-t0)2+C1(t-t0)+C0
C0:定数/ C1:1次温度係数/ C2:2次温度係数/ C3:3次温度係数
t:温度/ t0:基準温度 - ●変曲点温度
ATカット水晶振動子の周波数温度特性が点対称になる温度。 - ●NTCサーミスタ(NTC Thermistor: Negative Temperature Coefficient Thermistor)
温度の上昇に対して抵抗値が減少するサーミスタ。
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