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1610サイズで世界最薄*の音叉型水晶振動子「DST1610AL」の開発

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この度、当社(社長 長谷川 宗平)は1610サイズで世界最薄*の音叉型水晶振動子を開発しましたのでお知らせします。  32.768kHz音叉型水晶振動子は、多くのデジタル機器のクロック源として採用されている電子部品です。近年、電子機器の小型化、薄型化、高性能、高機能化が進んでおり、それらの構成部品である水晶デバイスにおいても同様のニーズが高まっています。当社は先日のCEATEC JAPAN 2013で超小型音叉型水晶振動子DST1610Aを発表しましたが、今回さらに薄型化し、スマートカードに内蔵可能な製品高さ0.35mm max.を実現しました。スマートカードは、すでに電子マネーなどで身近なカードですが、その情報記録量は従来の磁気ストライプタイプと比較すると大幅に増加しており、セキュリティの強化も必要になっています。そのため、ワンタイムパスワードの生成が可能なカードの開発が進んでおり、正確なクロック源として音叉型水晶振動子を内蔵する必要があります。しかしスマートカードは標準規格で厚みが0.76mmと定められており、従来の音叉型水晶振動子を内蔵することは困難であるために超薄型化0.35mm max.対応が求められていました。  一般的に音叉型水晶振動子は小型化すると、電気的特性面で直列抵抗値の悪化が顕著になります。また従来のような導電性接着剤を用いた素子搭載方法では、小型化・薄型化に向けた製品設計に限界がありました。これらの問題を解決するために、既存機種DST210Aから新たに採用した素子設計(特許取得済)を継承し、進化させました。  ・新素子設計(特許取得済)で振動部と基部との距離を確保。その結果として基部への振動漏れを抑制し、直列抵抗値の悪化を 低減させました。  ・パッケージへの素子搭載は、FCB工法を採用し薄型化に重要な安定した搭載位置精度を実現しました。  また、製造プロセスにつきましても、既存の生産設備を用いながら、より高精度な加工を可能とするプロセスへ進化させています。DST1610ALに搭載する音叉素子は超小型設計であるために、その製造プロセス中で受ける熱が水晶素板を膨張収縮させ、歩留りに影響を与えます。今回この熱の発生を低減させる工法を確立し、加工精度の向上を実現しました。特性面においても既存機種のDST210Aと同等の性能・信頼性を実現しています。

*2013年11月4日現在 当社調べ

[特長]
  • 超小型・超薄型 SMD音叉型水晶振動子 外形寸法:1.6×1.0×0.35mm max.
  • <liセラミックパッケージ、金属リッドを採用し高精度と高信頼性を実現
  • 直列抵抗:90kΩmax.対応
  • Pbフリー対応
  • RoHS指令対応
[主な用途]
スマートフォン、ウェアラブル端末、GNSS、スマートメータなど
[生産状況]
スマートカード、移動体通信機器、民生機器
[量産開始時期]
2014年2月より
[生産数量]
200万個/月
[サンプル価格]
価格@500円
[電気的特性]
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この他の仕様、または特殊仕様については営業窓口にお問い合わせ下さい。

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[用語の説明]

●スマートカード
情報の記録のためICチップを埋め込んだカードのことで、電子マネーやETCカードなどで広く普及しているカード。

●ワンタイムパスワード
一度限り有効なパスワードのことで、音叉型水晶振動子は認証する側(サーバなど)、認証される側(スマートカードなど)で時刻同期を行うものに搭載される。

●FCB工法
セラミックパッケージに素子を搭載する方法のひとつで、チップに形成したバンプと呼ばれる小さな突起状の端子によって接続する工法で、導電性接着剤と比較し、搭載面積を小さくすることが可能となる。

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