新着情報

業界最高値※となる700MHzまで基本波(ATカット)で対応した 電圧制御水晶発振器 DSV753Cシリーズを開発

20130909

 この度、当社(社長 長谷川宗平)は、基本波ATカット水晶振動子を用いて高周波を直接発振出力する電圧制御水晶発振器「DSV753Cシリーズ」を開発しましたのでお知らせします。  近年、通信情報量の増大に伴って高速光通信におけるクロック信号はますます高周波化、低雑音化、高精度化が求められています。従来、高周波帯の発振器においては、周波数逓倍によって高周波に変換する方法やSAW デバイスを用いる方法などが広く使用されていました。  しかし周波数逓倍を用いる方法では、出力信号に発振周波数の整数倍となる周波数成分が含まれるために、位相雑音やジッタ性能の劣化を生じます。またSAWデバイスでは一般に周波数温度特性が温度に対して2 次曲線の形状を示しており、広い温度範囲での安定度を必要とする場合には周波数温度特性が常温付近で3 次曲線となるAT カットが適しています。一方、ATカット振動子では、周波数が高くなるほど水晶素板加工の難易度が高くなるために、これまでの技術では基本波による発振は200~300MHz程度が上限でした。  そこで当社では、独自の水晶加工技術と回路設計技術により、AT カット振動子の優れた周波数温度特性を持ちながら、周波数逓倍による信号品質劣化が無く、700MHzまでの高周波発振出力が可能なVCXO、DSV753Cシリーズを開発しました。  DSV753Cシリーズの外形寸法は7050サイズ(7.0×5.0×1.8mm)で、SMDタイプの電圧制御水晶発振器です。出力周波数は、350~700MHzの範囲で対応可能であり、従来機種の上限350MHzから大幅に拡張しています。また、出力信号レベルは、LVDSレベル(DSV753CJ)とLV-PECLレベル(DSV753CK)の2種類の差動ディジタル信号に対応しています。

なお、この新製品は2013/10/1~10/5に幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2013に出展いたします。(大真空ブース:Hall 1 1A07)

※ 2013年9月8日現在 当社調べ

[開発機種]
DSV753CJ / DSV753CK
[特長]
  • 7050サイズ(7.0×5.0mm)、製品高さ1.8mm(2.0mm max.)
  • 出力周波数範囲:350MHz ~ 700MHz
  • 基本波ATカット水晶振動子を使用し、ダイレクトに発振周波数を出力z
  • 無逓倍発振出力のため基準周波数の漏れによるスプリアスが無い
  • 低位相ノイズ
  • 周波数制御の直線性が良い
  • LVDS,LV-PECL の2種類の差動信号に対応
  • RoHS指令に対応
[主な用途]
基幹通信基地局、光伝送機器、無線送受信装置、ディジタル映像関係、HDTV関連機器
[生産開始時期]
2014年1月より。
[サンプル価格]
価格@¥7,000 サンプル対応中
[電気的特性]
2013090901

※ 上記仕様は、標準仕様の一部です。この他の仕様、または特殊仕様については別途ご相談ください。

<外観図>
2013090902
ランドパターン(参考)
2013092408

[用語の説明]

●水晶発振器
 周波数の基準源として精度の高い水晶振動子が広く使われているが、水晶振動子から周波数信号を得るためには発振回路が必要になる。水晶発振器は、水晶振動子と発振回路を組み合わせ、1つのパッケージにした商品で、使用者は発振回路を準備しなくても電源を与えるだけで水晶発振信号を得ることができる利点がある。

●電圧制御水晶発振器(VCXO)
 通常の水晶発振器に加えて周波数制御端子を持ち、周波数制御端子に加える電圧に応じて発振周波数を変化させることが出来る水晶発振器。通常は数十~数百×10-6を変化させることが出来る。

●基本波水晶振動子
 所定の振動モードで最も低い次数(1st)で発振するように設計された水晶振動子。

●差動ディジタル信号
 ディジタル機器の信号レベルにはいくつかの種類があり、0V~電源電圧(多くは3.3V)の振幅で”0”/”1”を表すC-MOSレベルが最も多く使われている。これに対して高速にデータを伝送する必要のある場合は、小振幅の差動ディジタル信号が使われる。 “0”/”1”を高速に切り替えるために振動振幅を0.3V~0.7V位まで小電圧化し、コモンモードノイズ(共通して混入する雑音成分)を除去するために、2つの差動信号(電圧を反転した信号)による伝送を行う。信号線は規定インピーダンス(通常は50オーム)で整合し波形の歪が発生しないようになっている。信号レベルによって、LV-PECL(Low-voltage positive emitter-coupled logic)、LVDS(Low voltage differential signal) などがある。

●逓倍
 ある周波数をもとにして、その整数倍の周波数を発生させること。

●無逓倍発振出力
 所望の周波数を直接発振させて出力する水晶発振器の構成を言う。PLLなどの逓倍回路を使うよりも出力周波数のノイズレベルが低く高速動作機器で必要とされている。

●低ジッタ
 周波数の揺らぎが少ないことを表す。水晶発振器では周波数の揺らぎ度合いをジッタと言い、逓倍回路を使用するとジッタは多くなり高速動作機器には使用しづらい。