新製品情報

世界最小の電圧制御水晶発振器(VCXO)DSV211ARを開発

2527-DSV211AR(500)

この度、当社(社長 長谷川宗平)は、世界最小の電圧制御水晶発振器(VCXO)「DSV211AR」を開発しましたのでお知らせします。  2006年のワンセグ放送開始以来、携帯電話やPCなどのモバイル機器、また自動車などにこの機能の搭載が進んでまいりました。これらの機器には、その用途から小型化や軽量化が求められ、より小型の部品ニーズが強まっております。弊社では平成20年5月に2520サイズのVCXOであるDSV221Sを開発しニーズに応えてまいりましたが、DSV211ARの開発により、さらなる小型化と性能向上に成功しました。  DSV211ARの外形寸法は2.0×1.6×0.72[mm]で世界最小*の電圧制御水晶発振器です。特に、携帯電話などに内蔵するワンセグ放送用受信モジュールに最適です。  容積は0.0023[cc]と現行の2520サイズ(0.0041[cc])と比べて約44%小型化、実装面積についても3.2[mm2]と2520サイズ(5.0[mm2])と比べて約36%小さくなり、高密度実装が可能になります。  また、小型化することで難しくなる周波数可変範囲の確保についても、新開発の発振回路ICと水晶振動子の採用により、可変できる周波数範囲は±110×10-6以上を確保し、動作温度範囲を-40℃~+85℃(2520サイズでは-30℃~+85℃)に拡大し、より使い易く性能を向上させました。  DSV211ARは1.8Vからの低電圧駆動が可能で(1.8V動作時の最大消費電流は1.2mA)、鉛フリーや欧州のRoHS指令に対応した、環境性能にも優れている水晶発振器です。

* 2009年2月18日現在 当社調べ

[開発機種]
DSV211AR
[特長]
  • 超小型:2016サイズ(2.0×1.6mm)、製品高さ0.72mm(0.8mm max.)
  • 公称周波数:27MHz
  • 電源電圧:1.6V~3.6Vの幅広い電源電圧に対応
  • 合金溶融封止技術の採用と電極材料の改善により従来製品と同等以上の耐環境性能を確保
  • 完全無鉛化(Pbフリー)、RoHS指令に対応
[主な用途]
ワンセグ受信用チューナモジュール(携帯電話内蔵用)、メディアプレイヤー、PND(パーソナルナビゲーションデバイス)、DSC(デジタルスチルカメラ)、DVC(デジタルビデオカメラ)、HDTV(PDP、液晶)
[生産開始時期]
2009年6月より
[サンプル価格]
価格@¥800 サンプル対応中
[生産数量]
1,000千個/月
[電気的特性]

項目

記号

規格値

条件

出力周波数

fo

 27MHz

 

電源電圧

Vdd

 1.8V±5%,2.8V±5%,3.3V±5%

 *いずれか1つを選択

周波数許容偏差

f_tol

 ±40×10-6 max.

Vdd±5% 
T_use=-40 to +85 deg.C 

周波数可変範囲

fcntr

 ±110×10-6 min.
 正勾配

Vcont=0.5×Vdd±0.5×Vdd

消費電流

Idd

 1.2mA max.

 1.8V動作、無負荷時

 1.8mA max.

 2.8V動作、無負荷時

 2.0mA max.

 3.3V動作、無負荷時

波形特性
(C-MOS 15pF負荷時)

波形対称性

-

 50±5%

 0.5×Vdd レベル

立ち上がり時間

tr

 10 ns max.

0.1×Vdd to 0.9×Vdd

立ち下がり時間

tf

 10 ns max.

0.1×Vdd to 0.9×Vdd

0レベル電圧

Vol

 0.1×Vdd max.

 

1レベル電圧

Voh

0.9×Vdd min.

 


※ 上記仕様は、標準仕様の一部です。この他の仕様、または特殊仕様については別途ご相談ください。

<外観図>
2527-dimentions_J(500

[用語説明]

●水晶発振器
 周波数の基準源として精度の高い水晶振動子が広く使われているが、水晶振動子から周波数信号を得るためには発振回路が必要になる。水晶発振器は、水晶振動子と発振回路を組み合わせ、1つのパッケージにした商品で、使用者は発振回路を準備しなくても電源を与えるだけで周波数信号を得ることができる利点がある。

●電圧制御型水晶発振器
 通常の水晶発振器に加えて周波数制御端子を持ち、周波数制御端子に加える電圧に応じて発振周波数を変化させることが出来る水晶発振器。通常は数十~数百×10-6を変化させることが出来る。

●周波数許容偏差
 水晶発振器はその出力周波数の精度が重要となる。公称周波数に対する出力周波数の差を周波数偏差という。出力周波数は、温度により変化する特性を持っているが、温度が変化しても、発振周波数の変化が限りなく小さいほど特性が優れていると言える。温度が+25℃±3℃(常温)の時の周波数変化を常温偏差と言い、その製品の動作温度範囲(例-10~+60℃)における周波数の変化を周波数温度特性と言う。

●ワンセグ
 地上デジタル放送で行われる携帯電話などのモバイル機器向けの放送、ワンセグメントの略。地上デジタル放送に割り当てられている電波は、周波数帯域を13の領域(セグメント)に分割して利用されている。そのうち12を固定テレビ向けのハイビジョン放送に使い、残りの1つのセグメントを携帯電話などのモバイル機器向けの動画放送に使うことから、地上デジタル放送推進協会によって2005年9月にワンセグという名称が決定された。

●RoHS指令
 Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electronic Equipment の略。
 EU(欧州連合)が2006年7月1日に施行した有害物質規制。電気電子機器への特定有害物質の含有を禁止する。規制対象となっているのはPb(鉛)、Cd(カドミウム)、Cr6+(6価クロム)、Hg(水銀)、PBB(ポリブロモビフェニル)、PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル)の6物質である。2002年11月にEU(欧州連合)の調停委員会で合意された。