用語集
あ行
圧電現象 | キュリー,J.とキュリー,P.によって1880年に発見された、イオン結晶が外力による応力に対応して誘電分極を生じる現象のこと。 |
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圧電素子 | 振動や圧力などの機械的ひずみを電圧に変換し、逆に電圧を加えると機械的ひずみを生ずる性質を持つ素子。 |
厚みすべり振動 | 周波数が厚みに逆比例する水晶振動子の振動モードの一つ。水晶片の厚み方向の表裏面がそれぞれ逆方向にすべるようなモード。そのような水晶片はATカットと呼ばれる。 |
異常光線 | 複屈折板に入射した光が二つに分離する場合、その速度が伝搬方向によって異なる光線。 |
位相ジッタ | 信号のパルス波形の位相が、本来の位置から前後に揺らぐ現象で、位相の変動周波数(時間的なズレ)が10Hz以上の周波数をジッタと呼ぶ。 |
位相ノイズ | 水晶発振器出力より発生する公称周波数近傍の不要なエネルギー放射の総称。 |
位相板 | 複屈折板を通過して直線偏光となった光線の偏光状態を解消させる素子。偏光解消板、波長板と呼ぶこともある。 |
エージング | 初期の不安定要因を取り除き、安定な動作を実現させる処理。 |
エージング量 | 時間の経過と共に変化する特性の変化量を言う。 |
オートクレーブ | 戦艦の大砲にも使われる、高温・高圧に耐えられる特殊製鉄の容器。大きいもので高さは15mにもなる。 |
オーバトーン次数 | 所定の振動モードで、基本波振動を1として順次存在するオーバトーン振動に対して、順次増大していく整数。 |
オーバトーン水晶振動子 | 高次(3rd、 5th、 7th)の振動モードで発振するよう設計された水晶振動子。 |
オフセット誤差 | LVDS出力発振器において、差動出力+側、-側の振幅レベル平均値の差を示す。 |
オフセット電圧 | LVDS出力発振器において、差動出力+側、-側の振幅レベル平均値を示す。 |
音叉型水晶振動子 (kHz帯水晶振動子) |
低消費電力で駆動が可能な振動子。水晶片が音叉形状であることから音叉型水晶振動子と呼ばれる。 |
温度センサ出力 | TCXOモジュールにおいて、温度に対し変化するDC電圧出力。 |
か行
加工変質層 | 水晶を研磨や切断する際、水晶片に発生する小さなヒビなどの加工歪。 |
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カットオフ特性 | モアレを発生させる空間周波数の遮断特性。 |
機械加工 | 切削工具や工作機械を用いて、水晶を加工し目的の形状・寸法にすること。研磨も機械加工の一種。 |
帰還抵抗(Rf) | DCバイアス用の帰還抵抗は、低域のカットオフ特性を決定する定数の1つ。一般的にkHz帯の発振には10MΩ、MHz帯の発振には1MΩを使用する。ただし、オーバトーン発振が目的の場合には、kΩオーダーの抵抗が使用される場合がある。 |
基準温度 | 水晶デバイスの特定のパラメータを測定する温度。 |
起動時間 | 発振器の電源電圧が立ち上がってから出力振幅が規格に達するまでの時間。 |
基本波水晶振動子 | 所定の振動モードで最も低い次数(1st)で発振するように設計された水晶振動子。 |
逆圧電現象 | 圧電現象とは逆に、結晶体に電場をかけるとひずみが生じる現象のこと。リップマンがその存在を予測しており、キュリー,J.とキュリー,P.が実証した。 |
キャップ | セラミックや金属で作られた水晶片を保護するためのカバー。 |
屈曲振動 | 周波数が素板の寸法で決まる振動モード。 |
群遅延時間偏差 | 通過帯域内の群遅延時間の最大値と最小値の差。 |
結合容量 | 4Pole型フィルタの場合、素子間の接合部分の容量。 |
ケミカル加工 | 機械で行っていた水晶片の加工を、化学溶液を用いて化学的に研磨・加工する方法。 |
減衰帯域幅 | 相対減衰量が規定値以上であることを保証する値での周波数の間隔。 |
研磨 | 水晶片を研削し磨くこと。仕上げ精度によりポリッシュなどの精密仕上げを行なう。 |
光学擬似信号 | 撮像素子で格子縞など写すと発生する、色むらや縞模様などの本来存在しない信号。偽信号、モアレと呼ぶこともある。 |
光学軸 | 複屈折性結晶で複屈折の起きない方向の軸。 |
光学水晶基板 | 水晶の持つ熱伝導率特性を使った放熱用透明基板。 |
光学ローパスフィルタ | 空間周波数の高周波成分を除去するフィルタ。カラー撮像素子を使用したデジタルスチルカメラやカムコーダなどの光学擬似信号を除去するもの。 |
公称周波数 | 中心周波数の公称値。 |
高調波 | 発振器出力において、出力周波数以外の高次周波数成分。 |
コンベックス加工 | 水晶片の振動エネルギーのもれを防ぐ(振動エネルギーを中央部に閉じ込める)ため、水晶片の端を中央部より薄くする加工方法で、水晶片を円弧状の曲面に形成する加工である。他に中央部の平坦を残すベベル加工がある。 |
さ行
最大励振レベル | 水晶振動子の動作時にかかる電力の最大値。 |
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差動出力誤差 | LVDS出力発振器において、差動出力+側、-側の波高値の差を示す。 |
差動出力電圧 | LVDS出力発振器において、差動出力+側、-側の波高値を示す。 |
サバール板 | 入射した光線を互いに振動方向の異なる常光線と異常光線の2つの直線偏光に分離させる素子。複屈折板と呼ぶこともある。 |
紫外カットコーティング | 紫外線を反射させる光学薄膜。 |
終端インピーダンス | フィルタ側から見た信号源インピーダンス、又は負荷インピーダンス。 |
周波数 | 電波、音波など、周期的変化をする現象が一秒間に何回繰り返されるかを示す数をいう。単位はヘルツ「Hz」。 |
周波数温度特性 (水晶振動子) |
基準温度における周波数との偏差を百万分率(×10-6)で表し、動作温度範囲内での最大値。 |
周波数温度特性 (水晶発振器) |
温度以外の条件を変えない状態で、規定温度範囲全域にわたる動作によって生じる規定基準温度の周波数からの周波数偏差。 |
周波数可変範囲 | VCXOにおいて発振器へ外部からの制御電圧により変化させることができる出力周波数範囲。 |
周波数許容偏差 (水晶振動子) |
常温(25℃)における公称周波数との偏差で、百万分率(×10-6)で表します。常温偏差とも呼ぶ。 |
周波数許容偏差 (水晶発振器) |
規定状態で水晶発振器が動作しているときの発振周波数と規定公称周波数との最大許容偏差。 |
周波数経時変化 | 規定の条件で、規定の動作時間範囲での周波数の変化量。 |
周波数制御感度 | VCXOにおいて、制御電圧1Vあたりの周波数変化量を示す。(単位:×10-6/V) |
周波数制御極性 | VCXOにおいて、制御電圧の増加にともない出力周波数が高くなるものを正極性(+)、低くなるものを負極性(-)で表す。 |
周波数制御電圧 | VCXOにおいて、周波数を可変するために、外部から入力する電圧の幅。 |
周波数電源電圧特性 | 電源電圧以外の条件を変えない状態で、規定電源電圧変化を与えることによって生じる規定基準電圧の周波数からの周波数偏差。 |
周波数負荷変動特性 | 負荷以外の条件を変えない状態で、負荷インピーダンス変化を与えることによって生じる規定基準負荷条件の周波数からの周波数偏差。 |
出力イネーブル時間 | 出力コントロール機能を持つ機種において、発振出力を停止した状態で、コントロール信号を入力してから発振出力が現れるまでの時間。 |
出力周波数 | 水晶発振器の出力周波数の公称値。 |
出力ディスエーブル時間 | 出力コントロール機能を持つ機種において、発振出力状態の時、コントロール信号を入力してから発振出力が停止するまでの時間。 |
出力電圧 | 出力波形の振幅。 |
出力特性 | 水晶発振器出力波形の規格及び測定負荷条件。 |
出力負荷 | 出力波形が対応するデバイス(TTL、C-MOS等)を示し、これらのデバイスをドライブできる。 |
出力負荷条件 | 発振器に接続できる負荷の種類や数(パワー)。 |
常光線 | 複屈折板に入射した光が二つに分離する場合、その速度が伝搬方向によって変わらない光線。 |
蒸着 | 水晶片の表面に金属の膜を形成すること。真空蒸着と呼ばれる、真空状態の容器内で金属を加熱し、蒸発させて水晶片に付着させる方法と、スパッタリングと呼ばれる、金属ターゲットにエネルギーを与えたときに金属原子が飛び出す原理を用いて付着させる方法が一般的に使用されている。 |
消費電流 | 消費される動作電流。 |
シリンダータイプ | 円筒状の構造の水晶振動子。一般的にkHz帯振動子の形状をいう。 |
シングルパッケージ | 水晶ブランクとICを1つのパッケージの中に組み込んだもの。 |
振動モード | 切断方位などで決定される水晶片の機械的な振動姿態。厚みすべり振動や屈曲振動などがある。 |
人工水晶 | 人工的に水熱合成法で育成された水晶を言い、不純物が少なく良質で形状が加工に適しているため、水晶デバイスの原料として使われている。 |
水晶 | 石英が大きく結晶したもので、本来の結晶面が良く発達したもの。アクセサリーなどに使用されている紫水晶(アメジスト)や黄水晶(シトリン)なども水晶の一種。 |
水晶振動子 (MHz帯水晶振動子) |
温度特性が良好な厚みすべり振動を利用した振動子。 |
水晶発振器 | 電圧を印加することで固有振動を起こす水晶振動子と増幅回路を組み合わせた発振回路で、発振周波数の精度が非常に高い。 |
水晶フィルタ | 広範な周波数成分の中から特定の周波数成分のみを通過させ、不要な成分を減衰させる周波数選択機能をもったデバイス。携帯電話などの無線通信機器において、所望の周波数成分を抽出する役割を担う。水晶の高いQ値を活かし、低損失、急峻な減衰特性、高安定であると共に、温度特性にも優れている。 |
スタンバイ時電流 | 出力コントロール機能を持つ機種において、外部からの制御電圧により、発振停止状態になったときの消費電流。 |
スプリアス | 減衰帯域内の規定された範囲にて、副次的な振動であり、主振動との相対減衰量の値で示す。 |
スリーステート機能 | スタンバイ機能で発振停止させたときの出力状態が高インピーダンスとなる状態。 |
制限抵抗(Rd) | 水晶振動子に流れる電流を制限したり、ICの出力インピーダンスや負荷の発振ループへの影響を低減する。 |
赤外カットコーティング | 赤外線を反射させる光学薄膜。 |
赤外カットフィルタ | 赤外線を遮断するフィルタ。通常の撮像素子は赤外線に感度があるが、人間の目は赤外線を感じないため、色補正用に使用される。 |
赤外吸収ガラス | 赤外線を吸収するガラス。 |
挿入損失 | フィルタを挿入した場合と、しない場合の減衰量の差をいい、次の2つがある。 ・最小損失:挿入損失の最小値。 ・定損失:公称周波数における挿入損失。 |
た行
立上り時間 | 波形の立上り区間を規定する二つの規定レベル間の時間間隔。 |
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立下り時間 | 波形の立下り区間を規定する二つの規定レベル間の時間間隔。 |
種水晶 | 人工水晶の育成に結晶核として使用する棒状、又は板状の水晶結晶。非常に精密に加工された純度の高い水晶で、この水晶結晶に再結晶していく。 |
頂点温度 | kHz水晶振動子など2次曲線を描く周波数-温度特性の頂点部分の温度。この温度が常用域にあると、安定した動作が期待できる。 |
直列抵抗 | 直列共振周波数における水晶振動子の抵抗値。等価直列抵抗とも言う。 |
直列容量 | 等価回路の直列アームの容量。 |
通過帯域幅 | 相対減衰量が規定値以下であることを保証する値での周波数の間隔。 |
逓倍回路 | 入力された周波数を、任意の倍率の周波数に変換する回路。 |
電源電圧 | 発振器に印加する直流電圧。 |
等価回路 | 水晶振動子の電気的特性を等価的に表したもの。 |
透過波面収差 | 光学系を透過した後の波面と、参照基準面からの波面とのずれ。 |
動作温度範囲 | 水晶デバイスが規定の特性を維持しながら機能できる温度範囲。 |
導電性接着剤 | 硬化すると電気的な導電性を持つ接着剤。水晶片とパッケージを電気的に接続する。 |
な行
二次温度係数 | 周波数-温度特性を表す2次曲線の温度係数。 |
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入力特性 | 出力コントロール機能を持つ機種における、コントロール端子の入力条件。 |
入力電圧レベル | OE端子の、”0”レベル、”1”レベル電圧条件。 |
入力電流 | OE端子の、”0”レベル、”1”レベルにおける電流値。 |
は行
波形シンメトリ | 出力電圧における規定レベルよりも高くなっている時間と低くなっている時間の比で、全信号周期に対する百分率。 |
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パスコン | 電源系のインピーダンスを下げるために必要な部品。 |
波長板 | 複屈折板を通過して直線偏光となった光線の偏光状態を解消させる素子。位相板、偏光解消板と呼ぶこともある。 |
パッケージ | セラミックや金属で作られた、水晶片を接着し、保護するための容器。 |
発振回路 | 持続した交流信号を発生させる電子回路。 |
発振余裕度 | 発振回路にどれだけの発振余裕があるかを示す度合い。回路の負性抵抗と同意。 |
反射波面収差 | 光学系より反射した後の波面と、参照基準面からの波面とのずれ。 |
封止 | 周波数の経時変化などの劣化を防ぐため、不活性ガスの雰囲気または真空状態で行う。抵抗溶接によって行うシーム封止や低融点ガラスを用いたガラス封止と呼ばれる方法がある。 |
負荷容量 | 共振周波数を決定する実質的な外部容量。この値が小さいと回路側の変化の影響を受けやすくなり、周波数安定度を悪化させる要因になる。 |
複屈折板 | 入射した光線を互いに振動方向の異なる常光線と異常光線の2つの直線偏光に分離させる素子。サバール板と呼ぶこともある。 |
負性抵抗 | 発振回路にどれだけの発振余裕があるかを示す値。発振が可能な回路の抵抗分をいい、負の値で示される。 |
分光特性 | 波長毎の分光率特性。 |
分離パターン | 複屈折板により光を分離させて形成するパターン、2点分離や4点分離などが一般的。 |
並列容量 | 等価回路の直列アームと並列の容量。 |
偏光 | 光の振動ベクトルの振動方向がそろっているもの及びその状態。 |
偏光解消板 | 複屈折板を通過して直線偏光となった光線の偏光状態を解消させる素子。位相板、波長板と呼ぶこともある。 |
保証減衰量 | 減衰帯域内の規定された範囲にて保証する相対減衰量。 |
保存温度範囲 | 性能劣化や損傷することなく保存できる温度範囲。 |
ま行
モアレ | 撮像素子で格子縞など写すと発生する、色むらや縞模様などの本来存在しない信号。偽信号、光学擬似信号と呼ぶこともある。 |
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モールドタイプ | 水晶振動子を型に入れて樹脂などで外装したもの。 |
無逓倍出力 | 逓倍回路を通さない、水晶発振回路の出力。 |
や・ら・わ行
ラスカ | 人工水晶の原料となる天然水晶の原料。 |
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ランバード加工 | 水晶原石の基準面(結晶軸)を出すために行う加工。 |
リップル | 通過帯域内にて減衰量の極小値と最小損失の差の最大値。 |
リフロー | 回路基板上で電子部品を接続する個所にあらかじめ塗られたハンダを溶かし、取り付けるハンダ付け手法のこと。 |
リフロー温度プロファイル | リフローによって電子部品を回路基板に取り付ける際、取り付けに必要な時間とリフロー炉の温度を規定したもの。 |
励振レベル | 水晶振動子の負荷条件で、水晶片に加わる電流または電力で規定される。 |
英数字
0レベル電圧 | 論理回路の”0”レベルを表す電圧条件。 |
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1レベル電圧 | 論理回路の”1”レベルを表す電圧条件。 |
CMOS | PチャネルとNチャネルのMOSFETを相補うように接続した集積回路。 |
ECL | マイナス電源を使用しトランジスターを不飽和領域で動作させる高速論理集積回路。 |
LVDS | 低振幅、差動方式の高速伝送回路。 |
LV-PECL | 低電圧駆動タイプのPECL回路。 |
MHz帯水晶振動子 | 温度特性が良好な厚みすべり振動を利用した振動子。 |
OCXO (恒温槽付水晶発振器) |
恒温槽を内蔵し、水晶振動子等の温度を一定に保つことで周波数変化を極めて小さくした超高精度水晶発振器。 |
PLL出力 | TCXOモジュールにおいて、TCXO出力信号を基準としたPLL回路による逓倍出力。 |
P偏光 | 試料面に入射する光の電気ベクトルの振動方向が、入射面内に含まれる直線偏光。 |
Q値 | 共振のピークの鋭さを表す値で、損失の少なさ、純度の高さを示す値。 |
RTC(リアルタイムクロックモジュール) | カレンダー時計機能に必要な年、月、日、時、分、秒、等のデータ提供や割り込み機能も備えた、多機能デバイス。 |
SMD | Surface Mounted Deviceの略。回路基板に実装するタイプのパッケージの総称を言う。 |
SPXO (一般水晶発振器) |
水晶の優れた周波数安定性を利用したクロック用水晶発振器。 |
S偏光 | 試料面に入射する光の電気ベクトルの振動方向が、入射面に垂直な直線偏光。 |
TCXO (温度補償水晶発振器) |
水晶振動子の温度による周波数変化を補正する回路を内蔵した、高精度水晶発振器。 |
TCXOモジュール | TCXOを多出力化し、温度センサー等を内蔵した複合化デバイス。 |
TCXO出力 | TCXOモジュールにおいて、TCXO出力信号を示す。 |
TTL | バイポーラトランジスタのみで構成された論理集積回路(ロジックIC)のこと。 |
VC-TCXO | 外部電圧により発振周波数を調整することが可能な温度補償型水晶発振器(TCXO)。 |
VCXO (電圧制御水晶発振器) |
SPXOの発振ループに可変ダイオードを挿入し、外部電圧により発振周波数を変化させることが可能な水晶発振器。周波数温度特性はSPXOと同等で、水晶振動子の持つ良好な特性が得られる。 |