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なるほどThe水晶デバイス
水晶デバイスって何?

水晶デバイスの「水晶」とは・・・そうです!あの占いの玉に使われる「水晶」なのです。水晶は、ケイ素(Si)と酸素(O2)からなる単結晶です。また、アクセサリーにも使用される、アメジスト、シトリンやローズクォーツなども水晶です。ちなみに、これらは水晶の中に金属の酸化物が含まれており変色したものです。

 

さて、神秘的な美しさを持つ水晶ですが、機械的な変形をあたえると電気的な偏極が発生するという不思議な性質を持っています(圧電現象といいます)。また、逆に、電気的な偏極を与えると水晶が機械的に変形する性質も持っています(逆圧電現象)。こんな性質もあるなんて、ますます神秘的ですね!

水晶デバイスとは、この現象を利用し、水晶を加工して作った電子部品のこと。

 

大真空の水晶デバイスは、携帯電話やパソコンなどの情報通信機器、DVDやデジタルテレビなどのAV機器、カーエレクトロニクス、ゲーム機など、私たちの生活に身近な電子機器に使われています。これら電子機器はコンピュータによる情報伝達で制御されており、この情報伝達をスムーズにする役割を果たしているのが、大真空の水晶デバイスです。電子機器の中で決まった信号を発振し続ける水晶振動子などの水晶デバイスは、血液を送り出す心臓と同じ役割を持っています。まさに、最も重要な部品の一つなのです。

水晶デバイスの作り方!

水晶がどうやって電子部品に変身するのでしょうか?水晶デバイスの中で、最も代表的な水晶振動子を例に、製品が出来上がるまでを説明しましょう。

 

(1)人工水晶の育成

オートクレーブと呼ばれる巨大な圧力容器にアルカリ溶液を充填し、上半分に種水晶(結晶配列に欠陥の少ない純粋な水晶の板)、種水晶下半分にラスカと呼ばれる天然水晶の原料を入れ、300〜400℃、1000〜1500気圧の高温・高圧の条件下で再結晶化したものが人工水晶です。品種にもよりますが2〜3ヶ月の期間をかけて育成します。この人工水晶の品質が水晶振動子の出来具合を左右するため、大真空では厳重な管理体制のもと、世界最高水準の品質を持つ人工水晶を製造しています。電子部品として使えるように、不純物などを取り除いたものが人工水晶です。この時点での水晶は、ずっしりと重く、キラキラと宝石のように輝いており、米粒よりも小さな水晶振動子とは、なかなか結びつかないかも知れません。

天然水晶と人工水晶

人工水晶の育成

(2)水晶片への加工

水晶は無色透明な結晶で、結晶軸が肉眼で見えるわけではないので、どの部分を使っても方向性などないような気がしますね。しかし、水晶には方向性があり、電子部品として機能させるため、この結晶軸を明確にする必要があります。この工程をランバード加工と呼んでいます。

その後、目的に応じて、この結晶軸に対し必要な角度で切断します。水晶振動子は、安定して発振することが役割の電子部品ですが、高周波振動子の周波数は水晶の厚みと反比例の関係にあります。つまり、周波数が高くなれば水晶は薄くなり、低くなれば厚くなります。この性質を利用し、水晶を切断・研磨することで、目的の周波数(厚み)やサイズ(外径寸法)まで加工します。

この工程は、水晶振動子の特性がほぼ決まってしまう、とても重要な作業です。ここでの加工は、100万分の1の単位で微細な管理が必要です。また、水晶は硬く、脆性破壊を起こす物質ですから、容易に曲げたりすることは想像もつきませんよね?しかし、水晶をどんどん薄く加工していくと写真のように曲がります。なんとも不思議な現象ですね。 水晶が変形している写真

水晶片製造工程

(3)周波数調整と洗浄

米とブランクを比較した写真 研磨剤を用いて切断・研磨した水晶片には加工変質層と呼ばれる、小さなヒビなどの加工歪や汚れが表面にあります。これらの加工歪や汚れを取り除くため、化学薬品を用いて水晶の表面を化学的に研磨、洗浄します。この作業では、水晶振動子の周波数調整も同時に行います。ここまで加工すると、ものによりますが、水晶片は米粒よりも小さく、紙よりも薄く、これがあの水晶?という状態です。

水晶振動子製造工程

(4)電極形成

ここまでの工程で目的の周波数、サイズまで加工しました。しかし、このままでは電気的に接続出来ないため、電気的信号を発振することができません。そこで、蒸着という方法で、水晶片に金や銀などの金属膜を貼り付けます。この金属膜に電気を流すと、水晶片が振動して、周波数を取り出すことが出来るのです。逆圧電現象の応用ですね!

(5)水晶片の接着・封止

電極を形成した水晶片を基板と接続するため、導電性接着剤を使ってセラミックなどのパッケージに水晶片を固定します。ここまで来て、ようやく水晶振動子らしくなってきました。落下や振動など様々な衝撃にも耐えるように、しっかりと接着された後は、ppm(×10-6)と呼ばれる100万分の1の単位で周波数をチェックしながら、目的の周波数に最終調整を行います。その後、酸素や水分が入り込まないように、真空や窒素雰囲気下でキャップ(封止)をします。これで水晶片を空気やゴミなどから守り、長い間、より安定した特性を得る水晶振動子ができるようになります。

(6)検査、梱包

目的とする特性基準が満たされているか、厳重な最終チェックが行われ、合格した水晶振動子のみが梱包されます。

(7)出荷

正確な振動が命の水晶振動子は、このような長い工程を経てようやくお客様のもとへ出荷できるのです。そして、携帯電話、PC、デジタルAV機器に車など、皆様の周りの、とても身近なところで大真空の水晶デバイスは活躍しているのです。

<語句説明>

圧電現象 キュリー,J.とキュリー,P.によって1880年に発見された。イオン結晶が外力による応力に対応して誘電分極を生じる現象。
逆圧電現象 圧電現象とは逆に、結晶体に電場をかけるとひずみが生じる現象で、リップマンがその存在を予測しており、キュリー,J.とキュリー,P.が実証した。
オートクレーブ 戦艦の大砲にも使われる、高温・高圧に耐えられる特殊製鉄の容器。大きいもので高さは14mにもなります。
種水晶 非常に精密に加工された純度の高い水晶で、この種水晶に再結晶していきます。
ラスカ 人工水晶の原料となる天然水晶の原料。ブラジル、マダガスカル、アメリカなどが主な産地
ランバード加工 水晶原石の基準面(結晶軸)を出すために行う加工。
脆性破壊 材料がほとんど連続的に変形せず、割れの急速な進展によって破壊すること。延性破壊に対抗する現象。
加工変質層 水晶を研磨や切断する際、水晶片に発生する小さなヒビなどの加工歪。
蒸着 真空蒸着と呼ばれる、真空状態の容器内で金属を加熱し、蒸発させて水晶片に付着させる方法と、スパッタリングと呼ばれる、金属ターゲットにエネルギーを与えたときに金属原子が飛び出す原理を用いて付着させる方法が一般的に使用されています。
導電性接着剤 電気的導電性を持つ接着剤。水晶片とパッケージを電気的に接続します。
パッケージ セラミックや金属で作られた、水晶片を接着し、保護するための容器。
キャップ セラミックや金属で作られた水晶片を保護するためのカバー。