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従来品比1/2以下の製品厚みを実現した世界最小最薄※水晶タイミングデバイスの製品化

 この度、当社(社長 長谷川 宗平)は従来とは異なる構造により圧倒的な薄型化を実現した水晶タイミングデバイス「Arch.3G」シリーズを製品化しましたのでお知らせいたします。本シリーズは、小型化・薄型化・高信頼性を実現するため、導電性接着剤やセラミックパッケージ、リッド材を用いた従来製品とは異なる新しい構造を採用しました。
 Arch.3Gシリーズでは振動子・発振器ともに、従来構造に対し1/2以下の厚みとなる世界最薄を実現しています。この薄さにより、シリコンダイへ本製品を積層し、モールドしたSiP(system in package)モジュールや基板への内蔵など、省スペース化に貢献する新たな価値を提案することが可能になります。
 本シリーズは製品サンプル対応中であり、2018年5月に量産を開始する予定です。

※ 2017年6月12日現在、当社調べ

DS1008JDS1008J

シリーズ名称Arch.3G
用途SiP/IC内蔵、スマートフォン、IoTデバイス、ウェアラブル機器、車載用途
生産拠点鳥取事業所/徳島事業所
 振動子発振器
SPXOTCXO
製品名DX1008JDX0806JDS1008JDB1008J
外形寸法1.0×0.8mm0.8×0.6mm1.0×0.8mm1.0×0.8mm
厚み(typ.)0.13mm0.13mm0.23mm0.23mm
量産予定2018 年5 月未定2018 年5 月2018 年5 月

 従来の構造では製品の小型化が進むほど、水晶素子をパッケージに搭載する際、導電性接着剤の塗布精度や搭載位置などのマージン確保が難しくなる傾向にありました。この課題を解決するために抜本的な製品及び工程設計の見直しが必要でした。
 本シリーズは、当社が独自に開発した接合技術であるFine Seal 技術により、水晶を母体とする3 層のウェハを貼り合せるWLP(Wafer Level Package)にすることで、従来構造と同等の気密性を実現しました。この構造により導電性接着剤を用いない保持部と振動部の一体構造を可能とし、上記のような工程上の課題を解決すると同時に、耐衝撃性の大幅な改善にも繋がりました。また、真空雰囲気下でウェハ洗浄から貼り合せまでを行うことで品質リスクを圧倒的に低減しました。これらにより自動運転をはじめとする更なる信頼性が必要な車載用途にも貢献してまいります。

 また、AT カットの水晶デバイスは高周波化にともない水晶素子が薄くなるため、プロセス起因の品質や生産性に関する課題がありました。これに対しArch.3G シリーズではWLPを採用したことで生産工程でのハンドリングが容易となり、これらの課題が解決できました。今後、基本波で200MHz 程度まで対応し、高速・大容量化による高周波化が求められるWiFi市場や拡大が見込まれるデータセンターなどの情報ネットワーク関連製品に本製品を提案してまいります。

 更に、圧倒的な薄型を実現したことでより一層の拡大が見込まれるSiP モジュールやICパッケージへの内蔵など、水晶デバイスの新たな実装シーンを想定した価値の提供を可能にします。また、パッケージの端子デザインも柔軟に対応できますので、ワイヤーボンディングに対応した形状など様々な外部端子の形成が可能な製品です。

[従来品との比較]

~振動子~

従来品比較 振動子

~発振器~

従来品比較 発振器

 

[製品仕様]

型名DS1008J
外形寸法1.0 × 0.8 × 0.23 mm Typ.
出力周波数1 ~ 100 MHz
電源電圧1.6 ~ 3.6 V
消費電流1.3mA (Vcc = 1.8V, 48MHz), 2.0mA (Vcc = 1.8V, 96MHz)
周波数許容偏差±20×10-6, ±30×10-6, ±50×10-6, ±100×10-6
動作温度範囲- 40 ~ + 85℃
出力レベルCMOS
保存温度範囲- 40 ~ +85℃
梱包単位3000pcs. / reel(φ180)

*その他の仕様についてはお問い合わせください。

[外観]

DS1008J 外観

[用語の説明]

「Arch.3G」
 従来製品を革新させた第3 世代の水晶デバイスを表す商標で、読みは「アークスリージー」。現在、商標登録出願中。

「SiP」
 System in Package の略。半導体チップやはんだ付け部品を一つのパッケージに収めたシステム。

「SPXO」
 パッケージ水晶発振器のことでSimple Packaged Crystal Oscillator の略。温度制御または温度補償をしていない水晶発振器。

「TCXO」
 温度補償水晶発振器のことでTemperature Compensated Crystal Oscillator の略。温度補償回路を付加して、周囲温度の変化による周波数の変動を小さくなるようにした水晶発振器。

「WLP」
 Wafer Level Package の略。ウェハ状態でパッケージングまで行うこと。

「AT カット」
 温度変化に対する周波数の変化量が3 次曲線を示す切断方位。AT カットの水晶片は広い温度範囲で安定した周波数が得られ、MHz 帯の水晶デバイスでは最も使用されている。

「基本波」
 与えられた振動モードの中で、最も低い次数(1 次)で動作するタイプ。

 

[お問い合せ先]

「報道機関窓口」
管理本部 管理部 広報課 Tel : 079-426-3211 Fax : 079-426-8618

「お客様窓口」
プロダクト本部 新構造プロダクトグループ Tel : 079-421-7200 Fax : 079-421-7240